CINEMA 4D OFFレポートその2

第三部 Aono.YさんによるCINEMA 4DとMMDの連携について

MMDとCINEMA 4Dを使ったボカロPVなどを制作されているAono.Yさん(@Aono_Y)は、MMDとCINEMA 4Dとの連携について紹介された。最近Aono.YさんとブラザーPさんが映像を担当された「0→∞への跳動」でもCINEMA 4Dが使われており、なんと4k(3840×2160画素)で制作されている。



MMDファイルをC4Dに取り込むMMDTOOL

MMDとの連携で欠かせないのが、フリープラグインのMMDTool。このプラグインは、MMDのモデルデータのpmdファイルと、モーションデータのvmdファイルが読み込みできる。モデルだけでなく、ジョイントやモーフも持っていくることができ、読み込んだモデルにvmdのモーションも割り当てられる。ただし物理シミュレーションの設定などはもってこれないので、C4Dが設定の必要がある。

また、読み込みデータには注意点があり、R12/R13/R14に対応しているが、R13がモーフなどが一番しっかりくるそうだ。R14もそれなりにくるがR12が壊れることろが多いらしい。Aono.Yさんの経験上のCINEMA 4Dジョイントの親子関係が崩れることがあり、それについては階層構造を手動で修正してやれば良いとのこと。

その他注意点としては

  • IKはインポート時にチェックをオフにした方がいい。
  • たまに、頂点ウェイトがインポートできない場合がある。
  • モデルよって相性がある。Lat式はMMDに表示が特化されているので、C4Dに取り込んでもまとめに見えない。

インポートにオススメのモデル

  • マリエルさん: ほぼそのままでOK
  • Tda式Appendミクさん(ただし、配布データはpmxなのでPMDエディタなでpmdに変換する必要がある)
  • 初音ミクXSさん

以上のモデルは、基本的にモデルには手を入れずに、マテリアルとライティング調整だけでいい感じにできる。実際の画像はツイートされていますので転載しています。

フィギュア調に仕上げる

Aono.Yさん自身は、MMDで作ったムービーをC4Dで作った背景に合成するのではなく、フィギュア調の質感が好きなので、モデルを取り込んでレンダリングしているとのこと。最近はMMD用のシェーダーでフィギュア調にするものもあるが、どうしてもキャラクターと背景を合成という手順を踏むと、キャラクターに背景の影響を与えられない。「0→∞への跳動」でも発光したオブジェクトがミクの前に迫ってくるカットで、その発光した光が顔を照明する演出があるが、それも背景とキャラクターを一緒にレンダリングするからこそできる。

フィギュア調にする設定は、インポート後のマテリアル設定をテクスチャの色味も調整して、服の質感には服に鏡面反射を追加して、肌にSSSを入れている。場合によって、ポリゴン選択範囲で質感分けすることあり。ライティングは、GI(グローバルイルミネーション)を使っている。

モデルについては、基本的にそのままだが、部分的にHyperNURBS化することもある。顔などは影の問題でやらない方がいいが、腕などローポリのままだとカクつくので、HyperNURBS化しているそう。

モーションのインポートの注意点

モーションは、ボーンの名称をもとに割り当てるので、ボーンの名前はかえないようにする。MMD上で多段化している場合は、C4Dの方も同一構造にしておく必要がある。モーションは、キーフレーム間が線形補間として取り込まれるので、MMDの動きとインポートしたものが異なってします。

解決方法としては、Live AnimationやVMD Reduction Toolを使って、すべてキーフレーム化してからモーションデータを書き出して、C4Dに読み込む。ただし、MMDのモーションの完全再現ではない。微妙に違う。VMD Reduction Toolの方が再現率が高い。
ただし、キーフレーム化するとタイムラインが重くなるので注意が必要。

ボーンのダイナミクス

ツインテールのダイナミクスの再現はどうするか? C4DのIKダイナミクスは制御が難しく苦労している。また、MMDと比べプレビュースピードも遅い。(ここで、コンノヒロムさんからヘアのスプラインダイナミクスを使ってはどうかという提案があった)

解決方法:MMMの物理焼き込み機能を使う。ツインテールやスカートがボーンの物理アニメーションになっているところをすべてキーフレームにとして焼き込んで、CINEMA 4Dに持っていく。

ここで、会場から連番のオブジェクトとして書き出しできないだろうかという発言が。それが出来ればC4D抜きでElement 3Dを使ってという話も出てた気がする。この発言をうけてMMDBridge作者の八田和磨さん (@uimac)がMMDのOBJ前フレーム出力に対応させたようです。

Aono.Yさんのまとめ

  • MMD用のモデルがC4Dで活用できる
  • C4Dのレンダリングなら質感の向上、背景との関係性、整合性がとれる

第4部: レクさんによるデジタルアブストラクト制作紹介

レクさん(@reku_AL)は、19歳ながらデジタルアブストラクトやCDジャケットデザイン、映像制作などを手がけており、今回はこのオフのために仙台から参加された。ちなみに、デジタルアブストラクトとは、デジタルメディアを使った抽象画や抽象的な映像のことで、今回レクさんの制作手法が紹介された。

その手法を紹介ということで実際にレクさんは即興で作りは始めた。まずは球体などをポリゴン化してブラシツールなどを駆使して感覚的にポリゴンを引っ張ったりしていくそうだ。不要なポリゴンなどがあれば削除することを繰り返し、一つのパースができたらMoGraphのクローナーを使って複製したりしている。

また、単純に立方体をクローナーで複製して、さらにそのクローナーを別のクローナーで複製してしたりしていた。見ていて思ったのは、このクローナーで複製するとき属性マネージャで〈レンダーインスタンス〉にチェックを入れてやると、相当軽く作業ができるのにと思った。

MoGraphの物理シミュレーションで大量の球体を動かして、それをメタボール化して流体の表現を行なっていた。ただ、メタボール化すると球体の物理シミュレーションが掲載できないので、レクさんは結構複雑なやり方で解決していた。ただ、会場から最初に球体の物理シミュレーションをキャッシュして、それからメタボール化してはどうかという意見があり、実際その場で試したらあっさりと実現した。

金属的な質感をよく使っているが映り込みが重要なので、発光マテリアルを適用したオブジェクトを配置して映り込みするようにしている。そのとき鏡面反射の設定で〈ぼけた鏡面反射〉の値を20%ほど入れるようしているとのこと。これは、昨年あさくらさんが、MAXON User Meet 2012で紹介した方法で、現実世界では100%反射するものはないため、こうすることでリアルさが上がると聞いてから実践されているそうだ。

これは個人的な感想ですが、レクさんのプレゼンを紹介を見ていて思ったのが、デジタルアブストラクトは敷居は低く割と誰でもそれっぽく見せられるが、魅力的な作品に仕上げるのは結構経験やセンスが必要そうということ。逆言えば深いモデリング技術がなくても、カメラマン的ないい視点やアングルの発見力、ライティングなどで勝負できるので、しっかりとしたモデリング技術の習得で挫折した人にも3DCGを続ける良いネタかもしれないと思った。

第5部: IMAGE UNITEDさんの映像制作のワークフローについて

テレビ番組のオープニングやPVなどの映像制作などを手がけているIMAGE UNITEDの大島さん。今回はCINEMA 4Dの技術的な話ではなく、映像制作者としてのその仕事の進め方などを中心にお話された。

大島さんの仕事では、ノートPCを持ち寄ってその場で作ることが多いという。そういう点で軽いCINEMA 4Dはいいらしい。

大島さんのスタイルとしては、いろんな機能を使いこなして3DCGを作るタイプではなく、1つの仕事に一つの機能だけでつくることがあるという。たとえば、ある仕事ではダイナミクスだけ、別の仕事ではクロス。シンプルなアイデアを作るのにいい。また、長年Macユーザーの大島さんにとってCINEMA 4Dは、Macの3Dソフトで軽くていいということだ。

仕事の流れを説明

テレビのオープニングの制作の依頼を受けたときのお話。依頼を受けたのは、真面目なドキュメンタリー番組で、オープニングやロゴデザインなどのパッケージ全体が対象。その中で、オープニングはモーショングラフィックでいきたいとの番組ディレクターの依頼。

大島さんは、クライアントからグラフィックによった表現でOKということで、まずは番組の世界観や番組へのディレクターの思いなど元にしたコンテを制作。このときに重要なのが、どういう意図でそれがデザインされているかが重要だという。たとえば、ただカッコイイというだけでは、クライアントからOKをもらえない。ただカッコイイだけでは、クライアントがデザインの方向が好みでなければ、当然受け入れてもらえない。しかし、クライアントが共感できるテーマや言葉で意味づけすることで、そのデザインが魅力的に見せることができる。たとえば、球体が色々なオブジェクトを壊していくアニメーションもそれだけは意味がわからない映像なってしまうが、「鋭い視点で切り込んでいく」というテーマで制作したとなると見え方が変わってくる。

大島さんは、こうしたアイデアを何パターンも提案しているそうだ。ロゴデザインでも、ラインの細い感じから、太い書体のデザインなど、その番組の世界観やディレクターの姿勢などいろいろな視点による提案を紹介。

個人的は、レクさんのデジタルアブストラクトの次にこのテーマを持ってきたのは非常に良い構成だと思った。意味やテーマを考えながらデザインワークをするというは、プロであればふつうのコトだけど、趣味の制作や学生のうちは見落としてしまいがちだ。非常に有意義な内容だった。

第6部: 緒方さんによるパーティクルの紹介

みなさん、シミュレーションって好きですよねっということで始まったパーティクルの話。

CINEMA 4Dの2種類のパーティクル

CINEMA 4Dには2種類のパーティクルが存在。

標準のパーティクルは、簡易的なもの。After Effectsプラグインのparticularと近いが、違いは実オブジェクトをレンダリングできる点。MoGraphやダイナミクスのダイナミクスタグを付ければパーティクル同士の衝突などの物理シミュレーションもできる。

もう一つは、StudioについているThinking Particles。XPressoを使ったノードベースのパーティクルシステム。難しいが、標準のパーティクルよりもいろいろのことができる。

ここで、緒方さんは即興でこのThinking Particles(TP)で使いながら解説。TPは、指定することでオブジェクトの表面からパーティクルを発生させたり、さらに発生したパーティクルから別のパーティクルを発生させることができる。

ただ、こうした設定は全てノードベースで行うで難しいが、コンテンツブラウザの中にプリセットが入っているので、それを組み合わせることでかなりいろいろなことができるとのこと。

緒方さんのレポートについては、結構複雑な操作でしたので、文章で解説は無理でしたので省きました。ですが、参加者からこんなツイートがありましたので、参考にしてください。

レポートは以上になります。記憶によるものなのでかなり大雑把だったり、ちょっとニュアンスが違うところもあるかと思いますが、皆さんが話されていた内容をまとめました。ぜんぜん違うということがありましたら、お知らせください。よろしくお願い致します。