CINEMA 4D OFFレポートその1
2013年3月24に seventhgraphicsさん主催でCINEMA 4Dのオフが行われました。今回は、申し込み人数130名以上、当日も100名以上来場するという驚くべきオフ会でした。
今回は、当日の様子をざっくり紹介したいと思います。なお、非公開の映像などがあるため、写真などはありません。
目次
主催者のseventhgraphicsさんによる挨拶と事例紹介
まずは、あさくら(seventhgraphics)さんの仕事での事例を紹介。特にフォトリアルなCGを得意とされており、Sonyやタバコのメビウスなどのプロモーション映像や広告ビジュアルを紹介。作品は、どれも実写と見間違うほどのCGでした。残念ながら今回は事例の紹介で具体的な解説などはありませんでしたが、一部は昨年10月に行われたMAXON User Meeting 2012のセミナーで紹介されていました。当時紹介されたシーンファイルがあさくらさんのTumblrで公開されています。
第一部: 加速サトウさんによるキャラクターモデリング
加速さんいきなり脱線して、小ネタとしてCINEMA 4Dの起動時に表示されるスプラッシュスクリーンの改造方法。C4Dのresourceファイルに画像があるから差し替えればできますよとのこと。例としてマッチョ画像に差し替える。
ここで、参加者アンケートで。どんなことにやっているか、もしくはやりたいかをアンケート。
- キャラクターモデリングしてる/したい人20名ほど
- モーショングラフィックは30名ほど
- 建築: 7名ほど
- フォトリアル: 7名ほど
- プラネタリウム: 3名
という結果に。意外にキャラクター系に興味がある人が多いという結果に。
話は、Birthday Song for ミク | miku-39.jpで使われた加速ミク(壁紙)について。加速ミクは、4年くらい前から制作しており、当初はMayaでモデリングしていたが、途中でCINEMA 4Dに切り替えたという。モデルは、一つのモデルをアップデートではなく、一から作り直しており、目の大きさなども試行錯誤し当初よりもかなり大きく、あざとさアップ。制作過程でレンダラーはC4D標準のものからV-Rayになり、マテリアルや形状を調整しながらテストレンダリングを繰り返す。何度か薔薇を散らした画像がテスト画像出てきていたが、写真を合成したものではなく3Dのモデルだった。イベントの聞いたところ、モデルは素材集を購入してそれを使っていたそうだ。
モデリングのTIPSなど
話は、モデリングのテクニックに変わり、今度はスマイルプリキュア!の同人誌の表紙用にプリキュア5人をすべてモデリングについて。その中からキュアピースの髪のモデリング作業工程のムービーを披露。この時のテクニックとして、ポイント編集時によく〈マグネットツール〉(ポイントやポリゴンを磁石のように引っ張ったりできるツール)を使うが、〈マグネット〉の強度を100%ではなく10%など低い値にして使っているとのこと。強度が100%の場合「マウスの移動量 = ポイント移動量」となるが、強度を10%にするとポイントはマウスの移動量の10%しか動かなくなる。そのため、微調整がやりやすいという。
なお、このときブラシサイズの変更をショートカットでやりたいができないだろうかという質問が加速さんからあった。これはR14からは機能が追加されており、マウスの中ボタン(MMB)を押しながら左右に動かすとブラシサイズが変わり、中ボタンを押しながら上下に動かすと強度が変更される。ただ、加速さんはR13を使っているので残念ながら対応していない。
参加者からの質問
参加者からのアニメキャラの目の表現はモデリングかテクスチャという質問。目は、球体を〈FFD〉デフォーマで平たく変形してそれにテクスチャを貼っているとのこと。〈FFD〉で変形しているので、球体の目を〈ターゲットエクスプレッション〉タグで視線を自動で動かしても、FFDで変形するのでアニメキャラの目としておかしくならない。
次は、キャラクタのモデルはゼロからつくるか、素体を使うかという質問。自分で作った素体を使いまわしているということ。モデリングの際フィギアを参考にしているという。
第二部: ぐるくんさんによるプラネタリウムの映像のキャラクターについて
ぐるくんさんは、プラネタリウム番組「サラのねがいごと」(YouTubeにあるトレーラー)などの制作について。この作品の背景は切り絵作家の方が作成しているが、その作品を元に3D化。ほとんどの部分は板ポリにテクスチャを貼っているが、メインの建物はちゃんとモデリングしているという。なお、板ポリの方は常に正面がカメラの方を向くように〈カメラに向く〉タグを設定している。
プラネタリウム用の映像ドームマスターについて
プラネタリウムは、魚眼レンズで撮影したような形のドームマスターと呼ばれる映像(ドームマスターに関する解説ページ)を作る必要がある。しかし、CINEMA 4Dは魚眼でのレンダリングが直接できないので、ぐるくんさんは、CubeMap形式のマップを作成してそれを別の方がAfter Effectsのプラグインを使いドームマスターを作成する方法をとった。このCubeMap方式は、立方体の前後左右天頂の5面を正方形で5回レンダリングする必要があるのでレンダリングが大変だったとのこと。特に、ドームマスターは4k(4096×4096ピクセル)になるので、サイズ的にたいへんだったという。
なお、ドームマスターに変換するAfter Effectsプラグインは、Fulldomeというプラグインではないかと参加者からのツイートがあった。また、CINEMA 4Dで直接ドームマスターを作る方法としてカメラの前に凸面状のカメラを置いて、それをレンダリングすると可能という話も。(こちらでその方法を使ったサンプルファイルがダウンロードできる)ただし、この場合すべてが鏡面反射したものになるので、デプスマップやオブジェクトバッファなどは取得できないデメリットがある。また、プラグインのV-Rayを使ってレンダリングすると魚眼レンズがあるので、直接ドームマスターを作れる。
クロスシミュレートについて
これまで服などクロスシミュレートする場合、CINEMA 4Dのクロスは思い通りに結果が得られず、ジョイントのIKダイナミクス使ってきたが、マントを羽織ったキャラクターでクロスを使ってみたら意外にいけそうだ。食わず嫌いはよくないかもとのこと。
日本SF作家クラブ50周年記念プロジェクトプラネタリウム番組『未来はボクらがつくるんだ! 22世紀のものがたり』について
ストーリー原案に新井素子さん他、キャラクター原案に萩尾望都さん(11人いるという漫画がオススメでアニメ化もされている。ちなみにアニメ氷菓でマヤカが文化祭でコスプレしていたキャラがこれの登場人物)という豪華スタッフによるプラネタリウムのCG部分をぐるくんさんが手がける。ぐるくんさんは世代的にドンピシャだったらしくかなり緊張したとのこと。キャラクターの3Dを行っている。モデリングはMODOを使い、それをFBXで書き出してCINEMA 4Dに取り込みアニメーションを作成した。
背景は、CINEMA 4Dのコンテンツブラウザに収録されている素材多様しているという。レンダリングは、リッチな絵にしたかったのでGIを使用している。しかしキャラクターまでGIを使うとレンダリング時間が大変なので、キャラクターは別レンダリングで合成しているそうだ。別合成すると床などにキャラクターの影が落ちなくなるので、これはシャドウキャッチャープラグインを使い、影だけのパスを書き出しAfter Effectsで合成している。
なお、コンテンツブラウザの素材は商用利用できるのかという質問があったが、ほとんどの場合商用利用可能だ。ただし、一部のサンプルファイルや作例は商用利用できない。その辺はシーンファイル内やコンテンツブラウザで表示される情報欄に記載がある。
iPhoneで立体映像
今回、発表ネタに初音ミクネタが多いということで、ミクを使った立体映像の紹介されていた。iPhoneにPalm Top theaterというガジェットを付けることで、3レイヤーの立体映像が手軽に見れるというもの。こちらがぐるくんさんの作品。原理的には、ミラーとその手前にハーフミラーを2枚の計3枚のミラーをiPhoneの上に斜めに置くことで、映像が三層構造で映し出されて立体的に見えるというもの。実際に見せていただいたが、結構奥行きが感じられる。